こんにちは、タリーです☕️
インフラを勉強し始めて最初にぶつかる壁が「横文字が多すぎる」問題。 サービス名(GCP/AWSの◯◯)は調べれば出てくるけれど、その手前にある「概念」の言葉が曖昧なままなのでまとめました。
この記事では、インフラの現場で飛び交う概念用語を、
- ざっくり一言(覚えるならこれだけ)
- 意味(もう少し正確に)
- いつ使う(どんな場面で登場するか)
の3点セットでまとめることにします!(備忘録も兼ねています)
1. 監視・オブザーバビリティ
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| モニタリング(監視) | 「決めた項目を見張る」 | 事前に決めた指標を継続的に計測し、閾値を超えたら知らせる仕組み。「何を見るか」を先に決めている。 | CPU使用率80%超えでアラート、など既知の障害パターンに備えるとき |
| オブザーバビリティ(可観測性) | 「外から中を推測できる状態」 | システムの外部出力(ログ・メトリクス・トレース)だけで、内部で何が起きているかを説明できる性質。「まだ知らない問題」を後から調査できるかどうか。 | 「なぜか特定ユーザーだけ遅い」のような未知の障害を掘るとき |
| テレメトリ | 「システムからの発信データ」 | システムが自ら吐き出す計測データの総称。ログ・メトリクス・トレースをまとめてこう呼ぶ。 | 「テレメトリを収集する基盤」=ログ/メトリクス収集基盤の話をするとき |
| メトリクス | 「数値の時系列」 | 一定間隔で記録される数値データ。CPU使用率、リクエスト数、エラー率など。軽くて長期保存に向く。 | ダッシュボードで傾向を見る、アラートの発火条件にする |
| ログ | 「イベントの記録」 | 「いつ・何が起きたか」を1行ずつ記録したテキスト。情報量は多いが重い。 | 障害発生時に「その瞬間何が起きたか」を追うとき |
| (分散)トレース | 「1リクエストの旅の記録」 | 1つのリクエストが複数サービスをどう通過し、どこで何ミリ秒かかったかを繋げて可視化したもの。 | マイクロサービスで「どのサービスがボトルネックか」を特定するとき |
| スパン | 「トレースの1区間」 | トレースを構成する最小単位。「サービスAでのDB問い合わせ 120ms」のような1処理。 | トレースを読むとき、どこが太いスパンかを見る |
| カーディナリティ | 「ラベルの種類の多さ」 | メトリクスに付けるラベル(タグ)の値の種類数。ユーザーIDのような無限に増えるラベルを付けると爆発してコストが跳ねる。 | メトリクス設計時に「このラベル、高カーディナリティでは?」と止めるとき |
| アラート疲れ(アラートファティーグ) | 「オオカミ少年状態」 | 意味のないアラートが鳴りすぎて、誰も反応しなくなる現象。 | 監視設計のレビューで「このアラート、本当に人を起こす価値ある?」と問うとき |
3本柱(Three Pillars): メトリクス・ログ・トレース。この3つが揃って初めてオブザーバビリティが成立する、という整理をよく見る。 最近は OpenTelemetry(OTel) という標準規格で3つをまとめて扱うのが主流。
2. 信頼性・SRE
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| SRE | 「信頼性をエンジニアリングする職能」 | Site Reliability Engineering。運用を人力ではなくソフトウェアで解決するアプローチ。Google発。 | 組織・役割の話をするとき |
| SLI | 「測る指標」 | Service Level Indicator。可用性やレイテンシなど、実際に計測する値。 | 「何を計測するか」を決める段階 |
| SLO | 「自分たちで決める目標」 | Service Level Objective。SLIに対する目標値(例:成功率99.9%)。内部向けの約束。 | 非機能要件の可用性目標を決めるとき |
| SLA | 「顧客との契約」 | Service Level Agreement。破ったら返金などのペナルティが発生する対外的な合意。SLOより緩めに設定するのが定石。 | 契約書・利用規約レベルの話 |
| エラーバジェット | 「壊していい残量」 | SLOが99.9%なら、残り0.1%は「失敗してよい枠」。この枠が残っていれば攻めたリリースをしてよい、という判断材料。 | リリース速度と安定性のバランスを議論するとき |
| トイル(Toil) | 「手作業の消耗戦」 | 手動で・繰り返し・自動化可能なのにしている運用作業。SREでは削減対象。 | 「この作業、トイルなので自動化しよう」と提案するとき |
| ポストモーテム | 「障害の振り返り」 | 障害後に原因と再発防止をまとめる文書。人を責めない(Blameless) のが原則。 | 障害収束後の振り返り会 |
| MTTR / MTBF | 「直す速さ / 壊れない長さ」 | MTTR=平均復旧時間、MTBF=平均故障間隔。近年は「壊れない」より「早く直る」を重視する流れ。 | 運用品質のKPIを設計するとき |
| オンコール | 「呼び出し当番」 | 障害時に呼び出される待機当番の体制。 | 運用体制・シフトの設計 |
3. 性能・スケーラビリティ
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| レイテンシ | 「1回の遅さ」 | リクエストを投げてから返ってくるまでの時間。 | 「p95レイテンシ 300ms以内」のような性能要件 |
| スループット | 「単位時間の量」 | 単位時間あたりに処理できるリクエスト数(RPS/QPS)。 | 負荷試験の目標値を決めるとき |
| パーセンタイル(p50 / p95 / p99) | 「平均は嘘をつく」 | 遅い順に並べたときの上位◯%の値。平均だと一部の激遅リクエストが隠れるため、p95/p99で評価する。 | 性能要件を定義するとき(「平均◯ms」は要注意ワード) |
| スケールアップ(垂直) | 「マシンを強くする」 | CPU/メモリを増やして1台の性能を上げる。限界がある。 | DBなど分散しづらいものを強化するとき |
| スケールアウト(水平) | 「マシンを増やす」 | 台数を増やして処理を分散する。クラウドの基本戦略。 | Webサーバー層の増強、オートスケール設計 |
| ステートレス / ステートフル | 「状態を持たない / 持つ」 | サーバー側にセッション等の状態を持たない設計は、どの台に振っても同じ結果になるためスケールアウトしやすい。 | 「なぜスケールできないのか」を議論するとき |
| ロードバランシング(負荷分散) | 「交通整理」 | 複数のサーバーにリクエストを振り分ける。 | 冗長構成の入り口として必ず出てくる |
| オートスケーリング | 「自動で増減」 | 負荷に応じてインスタンス数を自動調整する。 | コスト最適化 × 可用性の両立を語るとき |
| キャパシティプランニング | 「どれだけ要る?の見積もり」 | 想定トラフィックに対して必要なリソース量を事前に見積もること。 | 非機能要件(性能)の前提を置くとき |
| ボトルネック | 「一番細いところ」 | 全体の性能を律速している箇所。ここを直さないと他をいくら強化しても意味がない。 | 性能改善の優先順位づけ |
4. 障害耐性・レジリエンス
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| 可用性(Availability) | 「使える時間の割合」 | 稼働率。99.9%(スリーナイン)なら年間ダウンタイム約8.7時間。 | 非機能要件の中心。ナインの数で会話する |
| 冗長化(Redundancy) | 「予備を持つ」 | 同じ役割のものを複数用意し、1つ壊れても止まらないようにする。 | マルチAZ構成などの設計根拠 |
| 単一障害点(SPOF) | 「ここが死んだら全滅」 | Single Point of Failure。冗長化されていない箇所。 | 設計レビューで「SPOFはどこ?」と潰していく |
| フェイルオーバー | 「予備に切り替える」 | 障害時に待機系へ自動で切り替えること。 | DBのプライマリ/スタンバイ構成など |
| グレースフルデグラデーション | 「全滅ではなく縮退」 | 一部機能が落ちても、コア機能だけは生かして提供し続ける設計。 | 「レコメンドAPIが落ちても商品は買える」ようにする設計判断 |
| サーキットブレーカー | 「ブレーカーを落として延焼を防ぐ」 | 依存先が壊れているとき、呼び出しを一時停止して自分まで巻き込まれないようにする。 | マイクロサービス間の連鎖障害(カスケード障害)対策 |
| リトライ + エクスポネンシャルバックオフ | 「間隔を空けて再挑戦」 | 失敗時に指数関数的に待ち時間を伸ばして再試行する。単純な即時リトライは相手にトドメを刺すので厳禁。 | 外部API連携の実装方針 |
| 冪等性(Idempotency) | 「何回やっても結果が同じ」 | 同じ操作を複数回実行しても副作用が1回分にしかならない性質。リトライを安全にする前提条件。 | 決済APIの二重課金防止、リトライ設計 |
| レートリミット / スロットリング | 「流量制限」 | 一定以上のリクエストを弾いたり遅らせたりする。自分を守るための防波堤。 | API公開時、DDoS/暴走クライアント対策 |
| ヘルスチェック | 「生きてる?の確認」 | 定期的に「正常に動いているか」を問い合わせ、死んでいるインスタンスを切り離す。 | LB・Kubernetesの構成設計 |
| RTO / RPO | 「いつまでに復旧 / どこまで戻る」 | RTO=復旧目標時間、RPO=許容できるデータ損失時間(=バックアップ間隔の上限)。 | 災害対策(DR)の要件定義 |
| カオスエンジニアリング | 「わざと壊して確かめる」 | 本番に近い環境で意図的に障害を注入し、耐性を検証する手法。 | 可用性を「祈り」ではなく「検証済み」にしたいとき |
5. デプロイ・リリース戦略
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| ローリングアップデート | 「順番に入れ替える」 | 稼働中のインスタンスを少しずつ新バージョンに置き換える。 | 無停止デプロイの基本形 |
| ブルーグリーンデプロイ | 「まるごと2面用意して切り替える」 | 本番(Blue)と同構成の新環境(Green)を作り、ルーティングを一気に切り替える。切り戻しが速い。 | ロールバックの速さを最優先するとき |
| カナリアリリース | 「まず5%だけ試す」 | 一部のトラフィックにだけ新バージョンを流し、問題なければ拡大する。※炭鉱のカナリアが由来。 | 影響範囲を絞って本番検証したいとき |
| フィーチャーフラグ | 「コードは出すが機能はOFF」 | デプロイと機能公開を切り離すスイッチ。 | リリースとリスクを分離したいとき |
| ロールバック | 「戻す」 | 前のバージョンに切り戻すこと。「戻せる設計か」が設計品質そのもの。 | リリース計画に必ず含める |
6. インフラ構成管理
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| IaC | 「インフラをコードで書く」 | Infrastructure as Code。手作業のGUI操作ではなく、コードで環境を定義・再現する。Terraformなど。 | 環境差分をなくしたい、レビュー可能にしたいとき |
| 宣言的(Declarative) | 「あるべき姿を書く」 | 「どうやるか(手順)」ではなく「どうあるべきか(状態)」を書く。差分は仕組みが埋める。 | Terraform / Kubernetes の思想を説明するとき |
| べき等(Idempotent)※構成管理文脈 | 「何回流しても同じ状態」 | 同じコードを何度適用しても、最終的な状態が同一になる性質。 | IaCの安全性を語るとき |
| イミュータブルインフラ | 「直さない、作り直す」 | 稼働中のサーバーを手で修正せず、新しいイメージで置き換える。 | 「秘伝のタレサーバー(構成不明な職人サーバー)」を撲滅したいとき |
| プロビジョニング | 「用意する」 | リソースを作成し、使える状態にすること。 | 環境構築フローの説明 |
| CI / CD | 「自動でテスト / 自動で届ける」 | CI=継続的インテグレーション(統合とテストの自動化)、CD=継続的デリバリー/デプロイ。 | 開発フロー設計 |
| GitOps | 「Gitが唯一の正解」 | Gitリポジトリの状態を「あるべき姿」とし、それに実環境を自動で一致させる運用。 | Kubernetes運用、監査可能なデプロイを作るとき |
7. セキュリティ・運用ガバナンス
| 用語 | ざっくり一言 | 意味 | いつ使う |
|---|---|---|---|
| 最小権限の原則(PoLP) | 「必要な分だけ渡す」 | 権限は業務に必要な最小限だけ付与する。 | IAM設計の大原則 |
| ゼロトラスト | 「社内だからと信用しない」 | ネットワークの内外を問わず、すべてのアクセスを検証する考え方。 | 境界防御(お城と堀)モデルの限界を説明するとき |
| 監査ログ(Audit Log) | 「誰が何をしたかの記録」 | 操作の実行者・対象・時刻を残す。アプリのログとは目的が別物。 | コンプライアンス要件、内部統制 |
| シークレット管理 | 「鍵を平文で置かない」 | APIキーやパスワードを専用の金庫(Secret Manager等)で管理する。 | リポジトリへの認証情報コミット事故を防ぐ |
まとめ:迷ったらこの3つの問いに戻る
インフラの横文字は数が多いけれど、結局は次の3つの問いに答えるための道具に見えてきました。
- 壊れたことに気づけるか? → オブザーバビリティ / SLI・SLO / アラート
- 壊れても止まらないか? → 冗長化 / フェイルオーバー / サーキットブレーカー / 縮退
- 安全に変更し続けられるか? → IaC / CI・CD / カナリア / ロールバック
用語を単体で暗記するより、「この言葉はどの問いに答えるためのものか」で束ねると、頭に残りやすいと感じました!
皆さんもいいインフラライフを👋
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